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  • 2018/08/01
  • ちょくマガ編集部

愛のギロチン ~Part3「自分にしかできない求人とは」

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数日後、俺は再び多賀岡工業に出向いた。

休憩室でビデオカメラを取り出し、三脚を組み立て始めると、大貫は驚いた顔を見せた。



「おいあんちゃん、一体何をおっぱじめようっていうんだ」


「動画を撮るんですよ」


「動画だあ?」


ちょうど昼休憩の時間で、いつの間にか他の社員たちも集まってきていた。

仕出し弁当がテーブルの上にあり、社員たちは談笑しながらそれを一つずつ手に取り、
思い思いの席につく。俺は皆に知れないように録画ボタンを押した。


「動画ってあれだろ、ビデオだろ」


「ええ。採用のためのビデオ撮影です」


「おいおい、馬鹿言っちゃいけねえ。写真の一枚二枚なら勘弁してもいいが、動画ってなんだよ」

吠える大貫の横で昭一が笑っていた。


「いいじゃないですか、大貫さん。この先どれだけ生きれるかわかんないんだし、記念に撮っておいてもらえば」

その言葉に職員たちがドッと笑う。


「なんだと昭一この野郎、お前調子に乗んじゃねえぞ。だいたいお前は俺が育ててやったようなもんで……」


カメラの前でワイワイ騒ぐ姿を録画しながら、俺はあらためて大貫に声をかけた。



「じゃあ大貫さん、ちょっとその椅子に座ってください」


「え? 椅子ってお前、なんだよ藪から棒に」


すると社員の一人が「いいからいいから」と言って大貫を椅子に座らせる。


「じゃ、今からインタビューを撮りますからね。まずお名前から……」


「えー、おい、ちょっと待てよ。いや、照れるなあ。えー、わたくし、大貫ってもんですが、あの」


「もっと普通にしてください、いつもみたいにぶっきらぼうに」


「おい、なんだとこの野郎、そんなのバレちまったら応募なんて来ねえだろうが」

また社員たちがドッと笑う。


「おいこらお前ら、静かにしろよ。声が入っちまうじゃねえか」

キャラに似合わず焦る大貫を見ながら、昭一も笑う。


「いいじゃないですか。ウチらしい姿を撮ってもらいましょうよ」


実は昭一、そして社員たちには、今回の企画の内容を伝えてあった。

昭一はすべて俺に任せると言ってくれた。



そこからしばらく大貫と周囲がワイワイ言い合う様子が続いた。


やがて大貫が俺に「おい、ここじゃ埒が明かねえ、別の部屋に行くぞ」と立ち上がった。


「いや、もういいです」

俺はそう言って、ビデオを片付け始めた。


「はあ? おい、何やってんだよ」

「もう撮影は終わりです」


「おいおい、何を言ってんだ。俺はまだ何も話しちゃいねえぞ」



「後は俺の仕事です。任せておいてください」

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